日本ドライブイット株式会社

コンクリートアンカー

強度計算

あと施工アンカー許容荷重の考え方

1.本サイトの引張荷重について

あと施工アンカーに引張荷重をかけ続けていくと、コンクリートやアンカー自体の抵抗力が限界となり終局状態に達します。そのときに得られる最大の荷重値を「引張荷重」として掲載しており、終局状態は全てコンクリートのコーン状破壊です。引張荷重に達したあとは、引張荷重値は急激に落ちていきます。
したがって、あと施工アンカーを使用する場合、このことを十分に認識し、引張荷重に対して適切な安全率を加味した許容荷重以下で使用する必要があります。

2.許容荷重について

耐震補強による耐震壁の定着や機器類の固定などに用いることを適用範囲とした 一般社団法人 日本建築学会「各種合成構造設計指針・同解説」による許容荷重の考え方を参考として示します。

2-1 金属拡張アンカーの許容引張荷重

金属拡張アンカーの許容引張荷重を算出する破壊形式は以下の2種類で最も小さい値を許容引張荷重として算出します。

Pa=min(pa1,pa2)(N)
Pa:金属拡張アンカー1本当りの許容引張荷重
(1)Pa1=φ1・sσpa・sca(N)
(2)Pa2=φ2・αc・cσt・Ac(N)
Pa1:金属拡張アンカー鋼材の降伏により決まる1本当りの許容引張荷重
Pa2:定着したコンクリート躯体のコーン状破壊により決まる1本あたりの許容引張荷重
金属拡張アンカーの許容引張荷重
表:低減係数
 φ1φ2
長期荷重用2/31/3
短期荷重用1.02/3
2-2 金属拡張アンカーの許容せん断荷重

金属拡張アンカーの許容せん断荷重を算出する破壊形式は以下の3種類で最も小さい値を許容せん断荷重として算出します。

qa=min(qa1,qa2,qa3)
qa:金属拡張型アンカー1本当りの許容せん断荷重
(3)qa1=φ1・sσqa・sca(N)
(4)qa2=φ2・αc・cσqa・sca(N)
(5)qa3=φ2・αc・cσt・Aqc(N)
qa1:金属拡張アンカー鋼材のせん断強度により決まる1本当りの許容せん断荷重
qa2:定着したコンクリート躯体の支圧破壊により決まる1本当りの許容せん断荷重
qa3:定着したコンクリート躯体のコーン状破壊により決まる1本当りの許容せん断荷重
金属拡張アンカーの許容せん断荷重
表:低減係数
 φ1φ2
長期荷重用2/31/3
短期荷重用1.02/3
記号
sσpa:金属拡張アンカー鋼材の引張強度で sσpa=sσyとする。
sσy:金属拡張アンカー鋼材の降伏点(N/mm2
sca引張では、金属拡張アンカーの定着部またはこれに接合される鋼材の最小断面積で危険断面における値。せん断では、コンクリート表面におけるアンカーまたは接合される鋼材の断面積。ねじ切り部が危険断面となる場合は、ねじ部有効断面積をとる。(mm2)
αc:施工のバラツキを考慮した低減係数でαc=0.75 とする。
cσt:コーン状破壊に対するコンクリートの割裂強度で、cσt=0.31√Fcとする。ただし軽量コンクリートを用いる場合は、この値の90%とする。(N/mm2)
Fc:既存コンクリートの圧縮強度もしくは設計基準強度。(N/mm2)
Ac:金属拡張アンカー1本当りのコンクリートコーン状破壊面の有効水平投影面積。(mm2)
D:アンカー軸部の直径または金属拡張アンカーのスリーブ径。(mm2)
l:アンカーのコンクリート内への埋込み長さで、コンクリート表面から拡張部先端までの長さ。(mm)
lce:アンカーの強度算定用埋込み深さで、l<4Dの場合は、lce=l、l≧4Dの場合は、lce=4Dとする。
sσqa:アンカーまたは接合される鋼材のせん断強度でsσqa=0.7・sσyとする。
cσqa:コンクリートの支圧強度で、cσqa=0.5√Fc・Ecとする。
Ec:既存コンクリートのヤング係数。(N/mm2)
Aqc:せん断力方向の側面におけるコーン状破壊面の有効投影面積で、Aqc=0.5πc2とする。
C:へりあき寸法。
  • ※1.コンクリートのコーン状破壊の場合、引張荷重はアンカーの間隔、へりあき又ははしあき寸法に影響されます。
    有効水平投影面積が重なる場合や、へりあきなどにより欠けた場合は、低減させて強度検討を行なう必要があります。
  • ※2.上記計算式について詳しくは、一般社団法人 日本建築学会「各種合成構造設計指針・同解説:2010改定資料5金属拡張アンカーボルトの設計」をご参照ください。

注意事項

安全上の注意事項
警告
アンカー施工時は必す安全めがね、安全帯、ヘルメッ卜、手袋、安全靴を着用してください。金属片、コンクリート片が飛散し負傷や失明する恐れがあります。

アンカーの施工を行う際は、現場の環境をよく理解し、現場監督員又は現場責任者の指示、指導に従い安全で快適な環境で作業を実施するよう心がけてください。

  • ・ヘルメッ卜・安全めがね等の安全保護具は、定められた着用方法できちんと身に着けてください。
  • ・安全帯を使用する際は、作業前に十分な点検を行い、命綱に傷やほつれなどがないことを確認して使用してください。
  • ・防塵マスクを使用するときは、説明書をよく読み、正しく使用してください。
  • ・安全靴は、自分にあったサイスを選び、正しく着用してください。
  • ・脚立などを使用して作業を行う時は、しっかりと固定しぐらつきなどがなく安全を十分確認してください。
  • ・作業を行なう際は、周りの安全も十分に確認してください。
ご使用上の注意事項
  • ・取付けの対象となるコンクリー卜は、普通コンクリー卜で打設後28日以上経過したものとします。
  • ・コンクリー卜の厚さは、穴あけ深さに50mmを加えた厚さ以上であることを確認してください。これ以下の厚さの場合は、穴あけ及びアンカー打込みの際に、コンクリートがひび割れするおそれがあります。
  • ・基準のドリル径より大きいドリルビットは使用しないでください。アンカーの強度が低下します。
  • ・アンカーの打込み位置は、現場責任者の確認、指示を受けてください。その際、「へりあき」は埋込み深さの2倍以上、「アンカー間隔」は埋込み深さの3.5倍以上必要です。これより小さいとコンクリー卜のひび割れ、及びアンカーの引張強度の低下につながります。
  • ・穴あけ途中で鉄筋に当たった場合は、作業を中断して現場責任者に報告し、対処の指示を受けてください。
  • ・取扱説明書、施工手順をよく読んでからご使用ください。